ここ本当にフランス?ドイツに行く前にストラスブールでドイツの予行演習

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あや

ストラスブール駅に降り立って外に出ると、度肝を抜かれた。
視界に飛び込んできたのは、SF映画に出てくる宇宙船のような巨大ガラスドームだ。

実はこれ、中に1883年建造の歴史ある石造り旧駅舎がまるごと入っている。
2007年のTGV(高速鉄道)乗り入れに伴い、拡張工事が行われた。
しかし「歴史ある駅舎を壊したくない!」という熱い思いから、駅舎ごとガラスの巨大繭でスッポリ覆ってしまったのだ。
温存と近代化を力技で両立させた、なんともユニークな構造である。

ストラスブールはフランスで8番目くらいに大きい都市で、人口30万人近い街。
パリと違って移民が少ない。
治安もよさげ。

ストラスブール市の公共シェアサイクル「Vélhop(ヴェルホップ)」の緑色の自転車ラックが並ぶストリート風景。
ライン川を挟んですぐ隣が自転車大国のドイツ。
その影響か、自転車がとにかく多い。

赤い巨塔、ストラスブール大聖堂
旧市街へ足を進めると、路地の隙間から圧倒的な存在感が姿を現す。
ストラスブール大聖堂(ノートルダム大聖堂)だ。

この教会の最大の特徴は、赤茶色の外観である。
近郊のヴォージュ山脈から切り出された「赤色砂岩」で造られているのだ。
かつては世界一の高さを誇り、若き日の文豪ゲーテも足繁く通って塔に登ったという。
カメラに収めるには一苦労。

大聖堂を拝み、イル川沿いの木組みの街並み。
旧市街を囲むイル川と、川沿いに建つ歴史的建造物。
歩きながらずっと頭をよぎっていた違和感がある。
「……あれ? 私、いまフランスにいるんだよね?」
重厚な石造りの建築、整然とした街並み、尖塔の教会、そして木組みの家々。
どこをどう切り取っても、醸し出される空気感が完全に「ドイツ」なのだ。

イル川が二手に分かれる先端に建つ、2つの尖塔が印象的なネオ・ゴシック様式のプロテスタント教会。
これもいかにもドイツっぽい。

木組みの家々が並ぶ旧市街(グラン・ディル)エリアを巡る観光クルーズ船(Batorama)の船着き場付近。
うん、ドイツだね。

このアルザス地方は、歴史の中でフランス領とドイツ領を何度も行き来してきた激動の地だ。街並みや文化にドイツの血が色濃く混ざっているのは当然なのである。

「フランス気分を味わうぞ!」と意気込んで駅を出たのに、最初から最後までどこかドイツ風。
これから向かう先が本物のドイツ(ハイデルベルク)だというのに、すでに目的地に着いてしまったかのような錯覚に陥る。

何一つトラブルも起きず、特にドラマチックな波乱もないまま、
「フランスでドイツの予行演習をして終わった」
という謎の達成感だけを胸に、私は再びユーレイルパスを握りしめてハイデルベルク行きの列車に飛び乗ったのであった。

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