ぼったくりも砂煙もない国なんて…! 優等生オマーンでエジプト中毒を自覚した日

中東の優等生ことオマーン。
治安が良くて人々も穏やか、街並みも美しいと評判の国。
旅先でトラブルに巻き込まれては「これだから海外は!」と愚痴るのを生きがいとしている人間にとっては、完全に戦う土俵を間違えた場所だ。

まずは海の風情を味わおうと、港町マトラ地区へ向かう。
白い建物の前に広がるのはオマーン湾(Gulf of Oman)
なぜ湖じゃないんだ!

この海が見える位置にレストランがあったのでまずは腹ごしらえ。

SHAWARMA ARABIC PLATE SMALL(アラビック・シャワルマ・プレート Sサイズ):1.400 OMR(約560〜580円)
MANGO.L(マンゴージュース Lサイズ):1.500 OMR(約600〜620円)
食事よりもジュースのほうが高いという中東あるあるに直面。

運ばれてきたシャワルマは、薄焼きのパン(ホブス)でチキンを包み、一口大にカットして並べられたアラビアンスタイル。
味自体は至って「普通」。
しかし、直前の旅程であるエジプトが、私の味覚のハードルを海底深くまで下げてくれていたのである。
「油が酸化していない!」
「チキンがちゃんと柔らかい!」
普通のシャワルマがまるで三ツ星レストランの絶品料理であるかのように舌へ染み渡った。
テーブルの下には猫ちゃんがいたが、スルー。
こいつはどうせいい物を食べている。

続いて、海を見下ろす高台に鎮座するマトラ要塞へ向かった。
16世紀にポルトガル軍によって築かれたというこの要塞。
外観の威厳は申し分ない。

しかし、要塞というものは大抵「敵を寄せ付けない高い場所」に作られている。
かなり急な斜面を息も絶え絶えに登りきる。

登りきった頂上からの景色は確かに絶景。
直前に訪れていたエジプトと違いすぎる。

青く輝くオマーン湾、白く統一された美しい家並み、そして荒々しい岩山。
ぼったくりを仕掛けてくる怪しい客引きもいない。
吸い込むだけで肺が痛む砂煙の霧も、ここには一切存在しない。
安全柵はしっかりと整備され、あまりにも平和で、あまりにも清潔すぎる。
これが先進国か。。。

オマーンもエジプトと同様に猫がたくさんいるが、
オマーンの猫はどれも小ぎれいだ。
とりあえずスルーだ。

涼とエキゾチックな雰囲気を求めてマトラスーク(市場)へ。
オマーン最古の市場とも言われるこの場所は、狭い路地に乳香(フランキンセンス)の甘くスモーキーな香りが立ち込めている。

タクシーを拾って郊外のスルタン・カブース・グランド・モスクへ向かう。
オマーンのタクシーの運転手は100%同じ服だ。
足首まである真っ白な伝統衣装「ディシュダーシャ」
繊細な刺繍が施された円筒形の帽子「クマ」
実はオマーンでは、公務員やタクシー運転手など公の場で働く自国民に対し、伝統衣装の着用が義務付けられているらしい。

そうして辿り着いたスルタン・カブース・グランド・モスク。
2001年に完成したこのモスクには、かつて世界最大を誇った重さ約21トンの一枚織りペルシャ絨毯が敷かれているらしい。
開館時間が午前中(土〜木の8:00〜11:00)と非常に短い。
午後に訪れた私はもちろん門前払い。

ここから徒歩10分ほどのところに「オマーン国際病院」がある。
「オマーン国際空港」の本当の名前は「マスカット国際空港」だが、
「オマーン国際病院」は本物だ。
事前に知ってたら行ってたのに!
と帰国後に悔しい思いをしたのだった。

背後には険しいハジャール山脈と、白く輝く『モハメド・アル・アミーン・モスク』。
しかし平和すぎる。

「二度と来るか!」と毒づいていたエジプトなのに、
いざ全てが整った優等生の国に来てみると、
あの混沌と悪臭に満ちたカオスな刺激を無意識に求めてしまっている。
平穏を愛せない自分の厄介で歪んだ旅情に自己嫌悪に陥った。

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