極彩色のテーマパークことヌビア村(ガルブ・ソヘイル)。
まずは砂地の高台へ。
眼下には雄大なナイル川と、丸っこいドーム天井の家々が広がっている。絶景である。絵画かよ。

こちらは黄色い壁が鮮やかな「地域開発協会」の建物。
保育園も兼ねているせいか看板の文字色がいちいち可愛い。

村の奥へ進むと、突如として現れるサントリーニ島。
カフェ兼ゲストハウスの「Ashry Narty(アシュリー・ナルティ)」だ。
天然の巨岩をそのまま階段に組み込んだ、白とスカイブルーの立体迷路。

村の目抜き通りへ突入する。
砂埃を巻き上げて爆走する三輪バイク。
荷台には観光客がぎゅうぎゅう詰めだ。

通りにはお土産屋がびっしり並ぶ。
客待ちのラクダたちも、これでもかと派手な布と房飾りでドレスアップさせられていた。
心なしか「やってらんねえ」という顔をしているように見える。

と、ここまでは平和な観光客だった。
悲劇はここで起きた。
一人の地元キッズにロックオンされたのだ。
用件はただ一つ。
「マニー」
目が合った瞬間から、異常な粘着力で張り付いてくる。
「ノー」と言っても笑顔でついてくる。
早歩きしても小走りでついてくる。
完全に地獄の果てまで同行する構えだ。

路地に入って撒こうと試みた。
スーク(市場)の両側の壁からアフリカンマスクや民族衣装がこれでもかと迫り出してくる。
「ブラックアフリカの玄関口」の圧がすごい。
だが、この村の構造が罠だった。
どの裏路地を歩いても、結局あの目抜き通りに合流してしまうのだ。

曲がり角を抜けて「撒いたか?」と息を整えた瞬間、正面から平然と現れるクソガキ。
お前はターミネーターか。

「DARA FAMILY(ダラ家)」の門構えからゲストハウス「SOMA KATO(ソマ・カト)」
一瞬日本人が経営してるゲストハウスかと思ったが、
「カト(Kato)」が日本語の「加藤」に聞こえるため日本関係と思われがちだが、これはヌビア語で「家(House / Home)」を意味する言葉だ。
Soma Katoは「ソーマの家」という意味らしい。
そして振り返ればやつがいた。

最後は土産物屋の暖簾を「客です」という顔でくぐり、
店主が「いらっしゃい!」と声をかけてきた隙に、裏口の通路から音もなくダッシュで脱出。

振り向くと、少年の姿はなかった。
勝った。
ヌビアの砂漠で、私はガキとの一騎討ちに完全勝利したのである。
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