サグラダ・ファミリアに朝6時から並び、最終的にヌーディストビーチで「全裸」を伏線回収

「旅は準備が8割」とはよく言ったものだが、
情報が古ければその準備はただの自爆行為にしかならない。
情弱ゆえに大爆死した私のバルセロナ珍道中。

日付が変わった深夜0時35分。
私はバルセロナ=エル・プラット空港の硬いベンチの上にいた。
ホテル代を浮かし、かつサグラダ・ファミリアへ一番乗りするための「空港泊」である。

某有名旅ブログやガイド本を徹底的に読み込み
完璧な攻略法を頭に叩き込んでいた。

「サグラダ・ファミリアのオープンは9時。
2時間前の7時に並び始めれば確実に一番乗りできる」

固いベンチで仮眠を取り終えると、早朝の始発電車に乗り込む。

すべては計画通り、寸分の狂いもない。
サグラダ・ファミリアが見えてきた瞬間、
私の頭の中には勝利のファンファーレが鳴り響いていた。

静まり返るオレンジ色の街灯の下を抜け、意気揚々とサグラダ・ファミリアの前へと辿り着いた。
見上げれば、夜明け前の群青色の空にそびえ立つサグラダ・ファミリア。

「勝った……! 空港泊までして始発で乗り込んだ甲斐があった! 誰もいない! 私が世界のトップバッターだ!!」

白い息を吐きながら、
「さてどこから入るのかな?」
警備員らしき人に聞くと

「窓口でのチケットは売ってないよ。
入場チケットは完全事前オンライン予約に変わった」

「…………は?」

なんと、私が信じ切っていた「早朝並び攻略法」は過去の物だったのだ。
現代のサグラダ・ファミリアは、
情弱が空港泊して始発電車で気合を入れて駆けつけたところで1ミリも門を開けてくれない、
鉄壁のデジタル要塞と化していたのである。

慌てて公式の予約画面を開くも、「本日・明日の枠:すべて完売(FULL)」の冷酷な表示。

中に入れない巨大な教会を外から拝み倒し、
私の「完璧なバルセロナ観光プラン」は午前7時に完全崩壊した。

もはや為すすべもないため、足の向くまま街歩きを始めることにした。
まずはカタルーニャ広場方面へ向かい、グラシア通りへ。
ガウディ設計の邸宅「カサ・バトリョ」が姿を現した。

なんか人が並びまくってて入る気にならなかった。
でも入っておけばよかったと後悔した。

プラタナスの並木が続くグラシア通り(Passeig de Gràcia)周辺の歩行者天国・横断歩道エリア。
グラシア通りの歩道に敷き詰められている六角形のタイル(パノット・ガウディ)も、アントニ・ガウディがデザインしたものらしい。
「バルセロナという街はガウディで出来ているのか。」

カタルーニャ広場とグラシア通りが交わる角に位置するクラシカルな大建築カサ・フォンクベルタ(Casa Pascual i Pons / 旧カタラーナ・オシデンテ生命保険ビル)周辺の交差点。
オフィスビルまで景観を損なわない工夫がされてる。

カタルーニャ広場に面して建つゼネラリ保険ビル(Edificio Generali)。
1940年代に建てられた新古典主義・モニュメンタリズム様式の象徴的な高層建築である。

続いて、ゴシック地区の中心にそびえるサンタ・エウラリア大聖堂(バルセロナ大聖堂 / カテドラル)へ。
この大聖堂の中庭には、「13羽の白いガチョウ」が飼われているらしい。13歳で殉教した聖女エウラリアにちなんだ伝統だそうだ。

しかし、大聖堂は年始のイベントだか何だか分からないが、中に入れてもらえなかった。
サグラダ・ファミリアとバルセロナ大聖堂に大試合に完敗。
宝くじに当たるレベルの「お正月2連敗」を達成!

気を取り直して、旧市街(ゴシック地区)のディープゾーンへ

フェラン通り(Carrer de Ferran)。
19世紀に造られた歴史ある建物が並び、クラシカルな街灯やバルコニーが続く。

時刻は15:30
バルセロナの胃袋ボケリア食堂
ランチの混雑ピークも過ぎ、ゆっくり食事を楽しめる時間帯である。

朝からの絶望で削られたメンタルを癒やすべく、あれこれ注文する。

6.00ユーロで約937円
これが、信じられないほどに美味い。
切りたて生ハムの濃厚な塩気と、完熟メロンのジューシーな甘みが口の中でとろける贅沢な味わい!

何を食べても美味しい。
エビはぷりぷりと弾け、ハモン・イベリコの脂は舌の上でとろけ、ジュースは乾いた喉に染み渡る。

「サグラダ・ファミリアには拒絶されたが、バルセロナのグルメだけは私を無条件で抱きしめてくれた……」

この旅において、食事の選択にだけは一切のハズレがなかった。
それだけが唯一無二の救いであった。

旧市街の路地裏を抜けていくと、ふらりと立ち寄ったコミックショップ「Arkham Comics」
スペインはヨーロッパ屈指のマンガ・アニメ愛好国。
毎年秋に開催される「サロン・デル・マンガ(Manga Barcelona)」は数十万人を動員する欧州最大級のイベントとなっている。

こちらはバルセロナ2日目。
バスツアー帰りの夜の凱旋門。

ゴシック地区のプエルタ・デル・アンヘル通り周辺
カラフルな四角いクリスマスイルミネーションが輝く。
右手前にはライオンの吐水口を持つ伝統的な水飲み場(フォント)が見える。
バルセロナの街中には数多くの公衆水飲み場(カナル・フォント)がある。

そして、バルセロナ3日目の最後の夜。
私が最後に辿り着いたのは地中海に面したマル・ベリャ海岸(Platja de la Mar Bella)であった。

広大で美しいビーチだ。
実はここは「ヌーディストビーチ(全裸海岸)」なのだ。
季節は冬、時間帯は夜。
砂浜には服を脱いでいる人間どころか、人っ子一人存在しない。
冷たい夜の浜辺にポツンと立ち尽くしながら、私は悟った。

「そうか。古いネット情報に踊らされて空港泊&始発電車でサグラダ・ファミリアへ突撃した私は、最初から情報武装ゼロの丸裸だったのだな」

まさか旅の終着点において、
「物理的なヌーディストビーチ」に辿り着くことで、
「精神的・情報的な全裸っぷり」を見事に伏線回収することになろうとは、
夢にも思わなかった。

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