山で遭難したら死を意味する。日本でも死ぬ。ましてやここはベトナム。しかも、日本人たった一人だ。
ホーチミンから西へ100kmのカンボジアとの国境付近に位置するロンアン省の山の中で迷子になり、ベトナムの森で一人で夜を迎えた怖い話だ。
ベトナムとの国境にある美しい村「タンラップ」(Tan Lap)
その日のホーチミンも暑かった。
気温は40度近い。
ゲストハウスで「タンラップフローティングビレッジ(Tan Lap Floating Village)が美しい」と話題になっていた。
カンボジアとの国境付近にある水辺の美しい村で、バスで約3時間かかるらしい。
日本人は誰も行った事の無いような秘境で、ゲストハウスのスタッフにバスでの行き方を調べてもらった。
「タンラップフローティングビレッジ」Tan Lap Floating Villageへの行き方
ホーチミンからタンラップまでは直通バスは出ていない。
途中のタンアンと言う小さな街で乗り換え、ローカルバスを乗り継いで行く必要がある。
出発地:ホーチミン市のチョロンバスターミナル
ここから、タンアン市まで所要時間は約1時間半。
ホーチミンのチョロンバスステーション地図
中継地:タンアン市
タンアン市のバスターミナルから更に西の「タンラップフローティングビレッジ」まで約2時間。
最終目的地:タンラップ
Nhà Điều Hành Rừng Sinh Thái
Tan Lap, Mộc Hóa District, ロンアン ベトナム
タンラップ(Tan Lap)地図
ベトナムのバスの乗り方
ベトナムではバスターミナル以外にバス停は無い。
バスに向かって手を挙げれば、どこでも止まって乗せてくれる。
また、降りる時もバス車内のスタッフに告げて降ろしてもらう。
料金の支払いは、乗車後に車内のスタッフが回収する。
東南アジアのバスはたいてい同じやり方だ。
いよいよホーチミンから出発
ホーチミン市のバスターミナルから628番のバスに乗り込んだ。
「旅行ガイドにも書かれていない、日本人は誰も知らない美しい場所に行ける」
そう思うと、期待で胸が躍る。
冷房の無いバスで長時間移動
ベトナムのバスは冷房がきいてない。
車内はとにかく暑いので窓を開けるのだが、外から車のエンジン音とクラクションで騒音にさらされる。
ベトナムでは、クラクションは自分の存在をアピールする為に使うので、どの車もすれ違うたびに鳴らしていく。
本当にうるさい。
ホーチミンから1時間半ほどで、タンアンのバスターミナルに到着した。
ここからが問題だ。
地図で見て分かる通りだが、ここからタンラップまでホーチミンからの距離の倍以上ある。
タンラップ行きのバスの発車まで時間があるようだったので、売店で食事をとる事にした。
ベトナムは英語が通じない。ホーチミンですら通じないので、タンアンの田舎街ではなおさらだ。
ジェスチャーを交えて伝えたりすると扇子とか出てくる。
やっとの事で飯食い終えてバスに乗り込む。
交通事故渋滞を抜け、舗装されてない道を通り、2時間以上かけてやっとタンラップに到着。
観光の時間がだいぶ削られてしまった。
美しい「タンラップフローティングビレッジ」Tan Lap Floating Village
これが、ベトナムとの国境の村「タンラップフローティングビレッジ」だ
タンラップは美しい場所で、絶景の多いベトナムの中でも10本の指に入る美観だ。
あまり人に知られていない場所だ。
都会の喧騒を忘れてくつろいだ。
こうして誰も知られずに異郷に来ると、周りの女性がみんな美人に見えてくるから不思議だ。
山奥の美人村の伝説のような話はこうして作られていったのだろうか・・・
タンラップは木道(ボードウォーク)が続く迷路の森だ。
園内は広く、出口の場所を意識しないと迷子になる。
そろそろ日が傾いてきたので帰ろう。
しかし、出口が分からない。
人に聞こうにも、全く人とすれ違わない。
ただ木道だけが延々と続く森の中をさまよい続けた。
「これが人のいない所にくると言う事か・・・」
人の少ない観光地に来る怖さを知った。
やっとの事で場外に出た。
しかし、バスが走ってない。それどころか人がいない。
月の光さえ届かない真っ暗な森の山道をひたすら歩く
山道をロンアンの方にひたすら歩きながら、バスが通るのを待つ。
あたりが、暗くなってきた。
ベトナムのバスは昼間しか通らないのだった・・・。
空は曇っていて月の光さえもない。スマホの光だけを頼りにひたすら歩く。
足は疲労で震え、汗で目も霞んできた。(次ページ)
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ハロン湾行かなかったのか